SONY / FE 70-200mm F2.8 GM OSS IIを購入&レビュー(2023.01.31)
(最終更新日:2023.04.07)
レンズ記事第8弾は、欲しかったけどずっとスルーしていたFE 70-200mm F2.8 GM OSS II、いわゆるナナニッパのGMレンズのII型です。
欲しかったがずっとスルーだった訳
私にとっては重宝してきた70-200mm
私にとって、最も使用頻度が高いと行っていってもいい、70-200mmという焦点距離。そんなこともあって、Aマウント時代からナナニッパレンズを愛用していて、Eマウントになって一時期、F4通しのSEL70200Gを使っていましたが、のちの2016年9月にSEL70200GM(初期型)が発表されて、半年後の2017年4月に満を持して購入。
それ以来、2017-19年の3年連続で、私の中での年間撮影枚数第1位というぐらい使ってきたナナニッパ。
やはり、しゃんしゃん祭やモデル撮影会での使用はもちろんのこと、サーキットでのRQ撮影なども含め、ポートレート系の撮影には何だかんだで重宝する画角と性能なんですよね。
ただ、2020年の流行病以降、トータル的にポートレート系の撮影が減ってきてしまっていて、一方ではサーキットでのマシン撮影の割合が高くなったことで、順位こそは落ちましたが、それでも2020年が3位、2021年が2位と、何だかんだで使うレンズではありました。
35-150mmの登場
そこに、強敵が現れてきました。
そう、Tamronの35-150mm F2-2.8のレンズです。そもそも、私自身が、APS-Cからフルサイズへ移行した人間だからというのもあるかもしれませんが、当初はポートレート系も結構寄って狙うことが多かったのですが、年月を経てきて、だんだん標準域に近づいていき、ナナニッパの70mmではワイド側が足りないというシチュエーションが結構多くなってきていたんですよね。
そこに、2022年8月にこの35-150mmが発表されたんですよね。元々、一眼レフ用に35-150mm F2.8-4というレンズがあって、「この画角羨ましいな~」と思っていたので、もう飛びつくような形ですぐに予約をしてしまいました。
高解像度・美しいぼけ、高速AFの世界最軽量(*)大口径望遠ズームレンズ Gマスター『FE 70-200mm F2.8 GM OSS II』を発売。https://t.co/YHvMrtuYNE
— Sony (Japan) (@sony_jpn) October 14, 2021
* 2021年10月13日広報発表時点。オートフォーカス対応のフルサイズの70-200mm F2.8望遠ズームレンズにおいて。ソニー調べ pic.twitter.com/c7M3KuzyVc
ただ、この35-150mmの発売日(10月末)の少し前に、今回のSEL70200GM2のリリースが発表されたんです。初期型は当初は良かったものの、時間の経過とともに解像度の低さとAFの遅さが気になりだしていたので、リプレイスしたいとはかねてから思っていました。ただ、この段階で35-150mmは予約をしていたし、初期型のナナニッパは35-150mm購入時点では手放すつもりは無かった(代わりにTamron 70-180mm F2.8をリプレイス)ので、お金も無いし、とりあえずII型はしばらくスルーすることにした訳です。
35-150mmの重宝する焦点距離と写りの良さ
35-150mmを手にしてから1年ちょっと使ってきて、やはり一番の魅力はその焦点距離。今まで、70mmでは足りなかった50mm近辺のあたりも1本でカバー出来るので、ポートレート系では本当に重宝するレンズ。まだモデル撮影会の機会が少ないので、サーキットでのRQ撮影に限って話せば、お一人ずつピンで撮影する場合は、70-200mmでも問題はないのですが、S耐などで集合写真的に撮影するシチュエーションには、圧倒的に35-150mmが重宝します。なので、2022年はサーキットでは35-150mmと70-200mmと両方使ってみましたが、毎回、35-150mmの方に軍配が上がる感じがありました。
あとは写りの良さです。初期型の70-200mmも、一様はGMレンズなのでそれなりの画質は確保されているのですが、やはり設計・発売が新しいレンズほど写りが良いことに違いはありません。しかも、意外だったのは動画での画質で、2022年はしゃんしゃん祭の練習風景をミラーレス機でも撮影したのですが、その時の35-150mmの解像感が明らかにSEL70200GMよりも優れていて、あれを見てしまうと、「どうせ使うなら35-150mmの方だろう」ってことになってきてしまったんです。そうなると、おのずとSEL70200GMの利用頻度が落ちてしまい、結果的に2022年のレンズ使用頻度としては4位となり、何と35-150mmの3位よりも下になってしまいました。
35-150mmの不満点
一方で、35-150mmが完璧だったかと言われるとそうでもありません。実は、35-150mmに対しても、それなりに不満点はありました。
まずは、レンズ自体が重い(1,165g)上に、ズームリングの回転も重いということ。正直、レンズの重さは、200-600mmや150-500mmを持っている身としては、それほど苦痛ではないのですが、ズームリングが重いのは結構使い勝手が悪い。しかも、35-150mmはSEL70200GMに比べると、ズームリングがボディ寄り(マウント寄り)になっているので、そもそも回転操作がしずらいんです。なので、ゆっくりと撮影するようなポートレート系だといいのかもしれませんが、私のようにしゃんしゃん祭で使用したり、ピットウォークで焦点距離を変えながら何枚か撮影して…という速写性が欲しいシチュエーションにはちょっと不向きです。それでも、この1年間でだいぶん慣れた感じはしますが、その点に関しては、やはりSEL70200GMに軍配が上がります。
そして、もう1つ、結構致命傷なのが手ブレ補正が搭載されていないという点。もちろん、Eマウント機はボディ内手ブレ補正もあるので、ボディ側の問題もあるのでしょうが、α7RIVで35-150mmをポートレート撮影していると結構手ブレが気になります。小さいサムネイルで見ると分かりませんが、RAW現像なんかをしているとアレ?と気づくことは多々ありました。さらに、先程も述べたように、動画撮影をする場合も、確かに解像度は35-150mmの方がいいのですが、手ブレ補正の面では明らかにSEL70200GMの方に軍配が上がる状況でした。
いつかはリプレイスの思いと価格改定
このように、35-150mmとSEL70200GMに関しては、それぞれ一長一短があり、ある意味棲み分けが出来ている感じではありました。ただ、私としては、やはり写りに関して、純正のSEL70200GMがサードパーティ製の35-150mmに負けていて、それによって持ちだし機会が減るというのは、いかがなものかという考えはありました。そうなると、単なる宝の持ち腐れみたいな感じになってしまいますから。それなら、リプレイスをして、もっと私の中でのナナニッパの優先順位を上げてやった方がいいだろうと。
しかも、今後、ミラーレスでの動画撮影も本格的にやっていく中で、次のボディ変更をした際には、動画撮影時のアクティブ補正の対応が出てくるけど、アクティブ補正は何だかんだで純正レンズであることのメリットが大きく、残念ながら35-150mmではアクティブ補正に関してはあまり期待が出来ないのが事実。
しかも、昨年末のα7RVの発表の際に、SEL70200GM2だと、より強力なアクティブ補正が働くという発表もあり、今のところはα7RVだけかもしれないが、今後他機種・下位機種にも降りてくる可能性があるので、それを見越して切り替えておくのも悪くない。
さらには、これまでナナニッパといえばポートレート系しか撮影をしてこなかったが、2022年の後半から、岡山国際サーキットでリボルバーやレッドマンコーナーでフェンス越しにマシン撮影にもナナニッパレンズを使うようになった。そうなると、解像度が上がり、AF速度が上がるのは嬉しいことだし、何より荷物の重量を出来るだけ減らしたいという観点からもその意義は大きい。
そんなこともあり、いずれ初期型からII型にリプレイスしたいなぁ…とは年末頃から考えていました。
ソニー、一部製品を2月1日より価格改定。デジタルカメラやレンズなど平均14%の値上げに https://t.co/qXV0HE0ooK pic.twitter.com/VH6TR3gNvq
— デジカメ Watch (@dc_watch) January 25, 2023
そこにきて、2023年2月1日より、ソニーがカメラやレンズの値上げを発表。これまでも度々値上げを発表していたのですが、今回はSEL70200GM2も値上げ対象に。元々がなかなかなお値段のレンズとあって、10%値上げとしても3万円も値上げをしてしまう状況。今や、初期型の下取り価格もそんなに高くないので、もうこのタイミングで発注をかけておくしかないと腹をくくりました。
この段階では、ネット上では2~3ヶ月程度の納期だったものが、今回の駆け込み需要で5ヶ月とも6ヶ月とも言われる情報が錯綜。となると、春は無理、初夏~しゃんしゃん祭までに間に合えばいい方かな~と考えていました。
驚くほどすぐに届いて腰が抜ける💦
注文したのが2023/1/29(日)の午前中。
とりあえず発注だけしておけば、納品が2月以降だったとしても値上げ前の価格でいけるので、大雪が少し落ち着いたタイミングで、いつも利用している市内のカメラ屋さんで注文。35-150mmの購入から久しくそのカメラ屋さんに行っていなかったので、馴染みの店長さんが転勤していたのも知らなかった。
そしたら、翌30日(月)の昼から。仕事をしていたら、そのカメラ屋さんからの着信アリ。注文時点では「納期未定」だったから、「おおよそ何ヶ月後になります」みたいな連絡なのかな?と思ってかけ直したら、「注文されていたレンズが入荷しました」とのこと。
いやいや、注文したの昨日でっせ!?。😲
しかも、11月に発注された人がようやく納品され始めたというレベルなのに、何で私の手元に届くわけ?。まあ、いいんですけど。ってことで、31日(火)の昼休憩に引取に行きました。
これが、FE 70-200mm F2.8 GM OSS II(SEL70200GM2)です。まあ、想定はしていましたが、あくまで初期型を持っていた人間がII型へのリプレイスですし、長さも太さもほとんど変わらないので、ぶっちゃけ新鮮味は無い。
ただ、やはり真っ先に感じたのは軽さです。初期型の1,480gがII型で1,045gになったので、実に400g以上軽くなった訳ですが、数字で見る以上に持ったときの衝撃は大きいです。F4通しのSEL70200Gが840gなので、それよりも200gは重いのですが、感覚からするとSEL70200Gを持っている感覚に近いです。
初期型とII型を横に並べるとこんな感じ。ボタン類が増え、絞りリングが付いたことで、フォーカスリングが少し小さくなり、ズームリング部分も少し前寄りになっています。
あと、一番目立つのは、フードの形ですよね。初期型では花形だったのが、II型では丸形フードになりました。個人的には初期型の花形フードが好きだったので、この点はちょっと残念かな。ただ、フードを下にして立てて置けるという面では、機能性はこっちの方がいいんでしょうけどね。
ちなみに、いずれもフィルター径は77mmなのですが、フードのバヨネット構造が違うのか、フードの互換性は無さそうです(初期型をII型に、逆にII型を初期型に付けることは出来ない)。
これもよく言われるところですが、レンズ構成の変更により重量配分が変わって、前方部分が軽くなったことで、奥側の初期型フロントヘビーでボディを付けないと前方に倒れてしまうのに対して、II型はボディを付けていない状態でも三脚座で自立するほど重量が手前側に寄っています。
スイッチ類は結構増えていて、下からアイリスロック、手ブレ補正のモードスイッチ、手ブレ補正の切り替えとあります。個人的には絞りリングはほぼ使わないので、ロック出来ると助かります。
さらにAFレンジの切り替え、フルタイムDMFの切り替え、AF/MFの切り替えスイッチがあります。
あと、下部には絞りリンクのクリック・デクリックの切り替えスイッチがあります。これも私的にはあんまり関係ない。
私は使わない絞りリングもあります。
結構違う近接性能
最近のレンズで良く言われる近接性能の違いは結構あります。
【初期型70mm】
【II型70mm】
特にこのワイド端である70mmの近接性能が違います。正直、初期型では寄れる?とかっていうレベルでしたが、II型ではしっかりと寄れています。初期型はワイド端についてはスペック表記されていませんが、II型では最短撮影距離0.4mとのこと。レンズ長が20cmで、フードを付けたりすると0.4mというのは結構寄った感じになります。パッと見はテレ端よりワイド端の方が寄れている気がします。
【初期型200mm】
【II型200mm】
一方でテレ端は、スペック的には初期型が最短撮影距離0.96mに対して、II型は0.82m。なので、確かに少し寄れている気はしますが、そこまで劇的に変わっている感じでは無いです。
実写レビュー
SUPER GT 2023 公式テスト at 岡山国際サーキット(2023.03.12)
正直なところ、「ナナニッパの実写レビューがポートレートとかじゃなくて、サーキット撮影かよ!」ってツッコミが入りそうですが、すぐすぐにモデル撮影やレースクイーン撮影とかのタイミングが無くて、一番の初陣が何を隠そうサーキットでの撮影でした。
実は、何気に2月のメーカーテストの時からシレッと導入しました。かれこれマシン撮影を10年近くやってきて、これまでナナニッパレンズをマシン撮影に使うなんて発想が無かったのですが、昨年あたりからこういう近距離のフェンスボカシにはメッチャ重宝するようになりました。
リボルバーでのフェンス越しの流し撮り
リボルバーもパイパーに並んで定番の流し撮りスポットですが、今回はフェンスかぶりつきで狙います。撮影自体はいいんだけど、後ろから他のお客さんの視線を感じつつの撮影です。
まずは、膝立ちをして低い位置からの撮影。ちょうどフェンスが黒く塗りつぶされた場所があるので、そこを使っています。画的には結構いいんだけど、撮影の体勢がツラいんだよな…。
レッドマンイン側
最後、残り15分を切って向かったのはレッドマンコーナーのイン側。
ここも、先のリボルバーとあわせて、昨年ヒット賞連発した撮影スポット。もちろん、脚立を使ってフェンスの上から狙う方がセオリーなのでしょうが、そんな荷物を増やすより、ナナニッパ一本とNDフィルターで狙えるならこっちの方が全然楽だもんな。
いやあ、最後の初音ミクとか抜群にいいな。私でも去年まで気づかなかったぐらいだから、あまりフェンス越しだということに先入観を持たずに試してみるのが大事ってことだよな。