SONY / SEL135F18GM使用レビュー

(最終更新日:2021.01.17)

 レンズ記事第5弾は、単焦点レンズの中でも、なかなか敷居が高く用途もちょっと限られてしまうであろうSONY純正の135mm F1.8 G Masterレンズです。

何故に135mmへ?

 元々、あまり単焦点レンズ自体にはそんなに興味は無かったんですよね。別にズームレンズで撮れるならそれでいいじゃん!って思ってたぐらいで。なので、55mm F1.8 Zeissは持っていましたが、それ以外はほとんど手を出さずにいました。

 それが、2018年春にいつもお世話になっているカメラ屋さんの撮影会に参加して、ポートレート撮影でアレコレレンズを使わせていただいて、そこから『やっぱり単焦点っていいんだな…』って思うようになったわけです。

 こういうのって、やっぱり自分で使わないと分からないですからね。

SEL85F18

SEL100F28GM

 それで、2018年に85mm F1.8100mm F2.8 STFを購入しました。この2つを使っていく中で、まず85mmは私が使うシチュエーションとしては、もうちょっと望遠が欲しい感じがしたんですよね。それで100mmを購入したはずなのに、このレンズはSTFなのでボケは綺麗なんだけど、T値は5.6なので結構暗いんですよね。そんでもって、私にはどう使いこなして良いのかが全く分からなかったんです。

 そこにさらに、イルコさんが機材テロを起こしてくるわ、SONYからも135mm F1.8が登場するわで、珍しく発売日に飛びつくように購入しました。

 ただ、ここまで使用レビューの記事が遅れたのは、何でもない、作例が揃わなかったからに他なりません。今回は、この2年弱で作例もだいぶん揃ったので、皆さんにご紹介したいと思います。

写真で見るよりもデカく重い

 このレンズ、ホントに見た目もからして重厚感溢れるレンズなのですが、ホントに写真で見るよりも実物は結構大きくて重いです。

 サイズを比較するとこんな感じ。全長は127mmなので、私の手持ちレンズから言えば、SEL24105GとSEL70350Gの間ぐらい。なので、長さはそれほど気にならないかもしれませんが…

 やはりなんと言っても直径が太い!。フィルター径は、私の手持ちの中ではSEL200600Gの95mmに次ぐφ82mm。レンズ直径は9cm弱もあり、実はナナニッパと同等クラスもあります。

 さらに、現実問題として気になるのは、レンズフード装着時での太さで、直径約10.5cmぐらいになります。撮影しているときはそれほど感じませんが、カメラバッグに入れたりするときに、アレ!?ってぐらいに入りにくかったりすることが多々あります。

 そして、あとは重さですよね。実際に比べると、蒼々たる望遠レンズを差し置いて、1kg弱という重量感。もうこの上は、70200GMとか100400GMクラスになってしまうので、いかにこのレンズが重いのかがよく分りますし、24105Gと比べても大きさに対して重さの方が明らかに増すので、”塊”感がスゴイです。。

 ちなみに、このレンズにはAF/MFスイッチとフォーカスレンジ切り換えとファンクションボタン、そして絞りリングのクリック/デクリックのスイッチがあります。

では早速作例を見ていこう

 まずは一番の真骨頂ともいえるポートレート撮影から。

ポートレート撮影①:船上山さくらまつり2019

 実は、このSEL135F18GMの発売日は2019年4月19日(金)で、ちょうどこの船上山さくらまつりの2日前発売で、この撮影が初陣となった訳です。

 しかも、この船上山での撮影は、30人ぐらいのカメラマンがモデルさんを囲んでの撮影になるので、結構望遠レンズは必須。ほとんどの人が70-200mm F2.8を使っているようなシチュエーションです。(一部カメラマンが100-400mmクラスの望遠を使うことも…)

SEL135F18GM
SEL70200GM

 上段が135mm F1.8、下段が70-200mm F2.8の134mm。もちろん、厳密には同じ構図ではないし距離も微妙に違いますが、背景の桜が結構ザワザワするナナニッパに対して、135mm F1.8はいい感じでしっとりボケてくれます。これが、開放F1.8の底地からです。

 前ボケの雰囲気も悪くないです。あと、このレンズはちょっと黄色に寄る印象があります。そういう意味ではポートレートとの相性はいいのかも。

 さすがにここまで寄ると、もうどれだけボケるんだってレベルです。

 当時の作例を見ていただいた方がよく分りますが、この船上山さくらまつりというシチュエーションがとても135mmとの相性がいいです。その上でのF1.8の威力は凄まじいです。

ポートレート撮影②:ポピー祭2019

 続いては、もう1つのポートレート撮影。

 島根の東三瓶で6月に行われる「ポピー祭」。こちらは先程の船上山よりも距離が遠く、70-200mmよりも100-400mmの方が重宝するレベルなので、少々135mmでは遠さを感じるぐらいの撮影です。なので、実際はAPS-Cクロップも結構使ったりしてました。

 背景に写り込んでしまったお客さん達をボカして誤魔化せるこの魔力。

 背景ボケもいいですが、もちろん前ボケも十分綺麗です。

 午後からの撮影は場所を変えたので、焦点距離的にはちょうどいいぐらいになりました。

 ここまで来ると、大胆に前ボケを入れたくなりますよね。

100mm STFと135mm F1.8の違い

 当時の記事にも書いたのですが、当時は100mm STFと両方を持っていた時期だったので、両者の比較をしてみました。

 ほとんど同じポジションで、レンズを変えての撮影です(厳密に言うとボディも違いますが…)。

SEL100F28GM
SEL135F18GM

 こう見ると、まずは当たり前ですが100mmと135mmが結構画角が違うことが分かります。1.35倍なので、APS-Cクロップの1.5倍まではいかないにしても切り取れる範囲が結構違います。その上、F値の違いがボケ量に大きく差が出てきます。

 なので、135mm F1.8の方が、何をしなくても、前ボケも後ボケもキレイにボケてくれる。その点、100mm STFはボケ自体はキレイなんだろうけど、被写体が遠く前ボケ小さかったり、被写体が近くて後ボケ遠いような、遠近を使ったボケを表現しないと100mm STFの良さは引き出せないって感じなのかな?

 ってことで、私はこのことで「100mm STFは私の手には負えない…」と思って手放してしまいました。

サーキットでの運用

 ここからはあまりこういう用途では使わないかもしれませんが、サーキットでの運用です。

グリッド撮影

 まずはグリッドでの撮影。そもそも、グリッドで望遠を使うというのは、邪道なのでしょうが…

 こちらはいずれも2019年S耐@岡山でのSUPER KARTのグリッドです。

 こう見ると、普通にいいじゃん!って思うと思いますが、これ、結構離れて撮影しています。なので、こういうほとんどお客さんがいないマイナーカテゴリーの場合はまだいいですが、メインレースのグリッドとかになったら、そもそもこんなに距離確保出来ないから撮影自体が厳しいと思います(バストアップ狙うにはいいかもしれないが…)。

 やはり、グリッドで狙うなら55mmや85mmが普通でしょうね。

ステージ撮影

 この135mm F1.8のウリの1つはAFがメッチャ速いということ。今ではXDモーターといえば、多くのレンズで使われているモーターですが、当時はまだ400mmや600mmの単焦点ぐらいにしか搭載されていなかったモーターですから。

 ってことで、どうせなら動きもの狙いたいということで、ステージでのライブ撮影にも使ってみました。

 こちらは、2019年5月のSUPER GT@鈴鹿戦のときの、ドリエンとフレエンのコラボライブの様子です。

 正直、この時のボディはα7RIIIだったので、AF的にはやや不利だったのですが、全くといっていいほど問題ありませんでした。

 あと、焦点距離についても、135mmって不足かなぁとは思いましたが、こういうライブ撮影だと膝上ぐらいの感じなので案外悪くない気はします。とはいえ、昨今はコロナ禍等によりステージとの距離が遠くなっているので、少し135mmでは厳しいかもしれませんけどね。

撮影対応

 あと、単焦点が使いたいといえば、S耐などでイベント広場でちょこちょこ行われる撮影対応のシチュエーションですよね。ここは単焦点レンズの真骨頂だと思います。

 こちらも2019年S耐@岡山での撮影対応ですが、まあ、想像通りなのですが、写りはいいけど、さすがに厳しいです。こういう撮影対応の場合、ある程度距離感って、近づくことは可能だけど遠くからって難しくて、2枚目の愛梨さんなんか、わざと離れていたのに寄って来ちゃったし…。

 ってことで、さすがに使いにくくて、すぐに止めて、85mmに切り換えましたね。

イルミネーション

鳥取砂丘イリュージョン2019

 何だかんだで毎年行っている鳥取砂丘のイルミネーションでの一コマ。

 正直、お見せするほどの画でもないのですが、絞りの違いでの丸ボケの変化を見ていただければと思います。

F1.8
F2.8

 上段がF1.8開放、下段がF2.8に絞ったもので、被写体に対して前ボケを入れている感じです。

 もちろん、絞ったことでボケ量が変わるのは当たり前なのですが、F2.8まで絞るとほとんど口径食も目立たなくなり、落ち着いた感じの仕上がりになります。よくよく考えれば当たり前なのですが、ここが単焦点をイルミネーション撮影に使う真骨頂なんですよね。

備北イルミ2020

 その鳥取砂丘でのイルミネーションがあまりにも物足りなかったので向かったのが備北丘陵公園のイルミネーション。

 ここでの撮影は被写体になるものも多くて、ホント撮影していて楽しかったですね。

 シンプルに前ボケを入れて、被写体になりそうなものを入れて撮るだけで、とりあえずそれっぽくなります。いずれもF2.8。やっぱり、これぐらい絞った方が丸ボケは綺麗ですね。しかも、たまねぎのような年輪ボケもなく、素直で非常にキレイなボケです。

 小さくワサワサ入れてみても、とても素直ですね。

 結構嫌らしいシチュエーションだと思いますが、単焦点だからこその雰囲気だと思います。この撮影で、本当にこの135mm F1.8は、私の中でイルミネーション撮影に持ち出したいレンズNo.1になりましたね。

しゃんしゃん祭

 最後にしゃんしゃん祭の時の感想も書き留めておきたいと思います。

 レンズを購入した2019年の祭で使用しました。本当は作例をお見せしたいところなのですが、如何せん、決まった連しか撮影しておらず、お見せすることが出来ません(できれば、2021年の前夜祭とかで作例撮りたいなぁ…)。

 とにかく、私が言えるのは、コイツの写りは全然違うってことですね。私の場合、メインは70-200mm F2.8 G Masterで挑んでいるのですが、何というか透明感というか、抜けというか、パッと見たときに「これ、レンズ違うでしょ」って分かるぐらい画が違うし、雰囲気も違います。それぐらい良いです。

 ただ、正直、私の場合は、135mmは少し使いづらいかな?って気もします。私は、祭本番は、連のスタッフとして中に入ることが出来る上で、踊り子さんを上半身アップぐらいで切り取る構図が多いのですが、もちろんシチュエーションにもよるのですが、135mmだとちょっとアップ過ぎるときがあります。これは、何処から誰を撮影するのかにもよりますが、平均的には85mmや105mmあたりが普通で、場合によっては55mmでも良いかもって思うぐらいです。

 これって、実際撮影してみるとよく分るのですが、練習時の撮影は後ろに下がれるので135mmでも問題無いのですが、当日は沿道にお客さんがいるので、後ろに下がれないから、結構踊り子との距離が近いんですよね。そういう意味では、サーキットでのグリッド撮影なんかと雰囲気は同じ感じですね。

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