結婚式・披露宴の撮影に挑戦してみた2014(2014.11.1)

結婚式

 この記事を読んでいる知人もいるかもしれないですが、実はこの記事、執筆自体は8月の頭から書いていたんですよ。それを考えていただければ、どれだけ今回の撮影が私にとってプレッシャーだったのかが分かっていただけるかもしれません。

頼まれてしまった結婚式写真

 一様、デジイチをはじめて約3年になる私。最近はサーキット系にどっぷりな感じもありますが、それなりに風景や花火やポートレートなど、大体の撮影経験は積んできたつもり。もちろん、今回の結婚式&披露宴というものも、H24年の春に姉、同年夏に友人の結婚式&披露宴を撮影しました。とはいっても、いずれも特別頼まれたわけでもなく、こっちから撮影したという感じなので、そんなに堅苦しく考えていませんでした。

 そして、それから2年後のこの秋、職場の元後輩同士が結婚をして、その結婚式でカメラマンを頼まれました。たぶん、本人達はそんなに重くは思っていないでしょう。いや、自分自身、引き受けるまでは、『いいじゃん!、オレに頼んでくれたら!』っていう気分でした。

 ただね、いざ頼まれると、それはそれはプレッシャーなんですよね。しかも、今回はオフィシャルのカメラマンはなし(といっても、実は姉のときも友人の時も無かったのですが…)。となると、はっきり言って、私が撮った写真がすべてということになってしまいます。(もちろん、他の人もいろいろと撮影はするのでしょうが…)

 しかも、これまでの2回の撮影経験を元に、何となくの撮影の雰囲気や様子は掴めている一方で、その難しさも痛感しているので、それはそれはプレッシャーでしかないです。

ボディは驚異の3台体制:SONY α77Ⅱ+α77+α55

 今回の撮影って、実はかなりのフル装備で荷物だけでもすごい量で、いつものVANGUARDのバッグにパンパン詰めた荷物量でした。

 ボディはいつも使っているα77Ⅱとα77のコンビ(厳密に言えば、α77Ⅱには縦位置グリップを装着)。これまで2回は、α55に高倍率ズームを付けて挑みましたが、やはり明るいレンズを使いたい!となると、標準ズームと望遠ズームが分かれてしまうので、2台体制でないとスピーディーに対応ができません。なので、これはもう必然でした。

 実は、私の中では、以前から『結婚式に呼ばれることがあれば、α99をレンタルで…』という構想もありました。ただ、α99のレンタルのあったレンタルボンバーさんが、この春に終了したんですよね…なので、それは叶わぬ夢となってしまいました。

 で、本当は、2台体制のつもりでしたが、広角レンズを交換する余裕がないと思って、あえて広角レンズはα55に装着したままにしました。何より、ゴミが怖かったし…。

レンズは最強装備

 レンズは完全に今回の撮影に照準を合わせての投入です。すでにHP上ではチラッと紹介はしていましたが、何を隠そう、本当はこの日の為でした。

◆SONY DT 16-50mm F2.8

 α77Ⅱとしては、標準レンズキットにもなる定番セットのレンズ。本当は、28-70mm F2.8レンズをレンタルしようかなぁとも思ったのですが、広角28mmはそれはそれで苦労しそうな予感がしたので、このレンズにしました。それに、16mmがあるとあえて超広角レンズまで出さなくても、ほどほどな広角っぽいのも撮れますし。まぁ、50mmでも足りないところは、トリミングするか足で稼ぐかすればいいですからね。

 なので、基本は、このDT 16-50mm+α77Ⅱの組み合わせを標準母艦として、場合によってその他のレンズ+α77の組み合わせで運用しました。

◆SIGMA 18-35mm F1.8 HSM

 言わずと知れた「神レンズ」とも呼ばれているレンズです。通常、F1.8なんて明るさは、短焦点レンズでなければ成し得ない明るさなのですが、このレンズはその明るさでズームレンズにしてしまったというものです。元々、SIGMAの30mm F1.8の短焦点レンズに興味を持っていたので、「どうせなら、ズームレンズの方がいいだろう」ってことで、こちらに手を出しました。

 やはり、このレンズは明るいということで、特にフラッシュの焚けないキャンドルサービス用に用意しました。前回、EV値2.5という暗さに、ISO-3200や6400まで上げたことがありました。なので、F2.8通しの標準ズームレンズでも厳しいかなぁという感じがしていたので、少なくともキャンドルサービスの時だけでも、このレンズを使おうと考えていました。

◆TAMRON SP 70-200mm F2.8 Di USD

 いわゆるナナニッパと呼ばれるレンズですね。前回の2回では75mmを超えるような画角ってあんまり撮影していませんでした。ただ、それにはいくつか理由があって、特に高倍率ズームレンズだと、望遠側はF5.6とか結構暗くなってしまうので、そもそも向いていないといのもありました。ただ、前回2回の撮影から2年が経過して、私自身、望遠レンズでの切り取りという構図が増えていった中で、おそらく、望遠レンズを多用したくなるだろうという読みもありました。

 もちろん、単なる望遠レンズで良いのならSAL70300Gでいいのですが、あれだとどうしても暗い。やはり、F2.8通しのレンズが欲しい。でも、SONY純正のGレンズは高いということで、タムロンのナナニッパを選んだのです。

 実は、このレンズを買わなくても、純正Gレンズのナナニッパをレンタルするという選択肢もありました。ただ、ナナニッパのレンズって重いので、そもそも操作の経験を積んでおきたかった。しかも、F2.8の望遠レンズの被写界深度の雰囲気も知っておきたい。それに、今後ポートレートなんかでもちょこちょこ使っていきたいというのがあって、満を持して購入していたのです。

◆SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM

 満を持して披露宴に投入する超広角レンズ。すでに購入から2年以上経過しているので、雰囲気も癖も掴んできた感じはします。他の披露宴の作例をいろいろと見ていて、魚眼ズームを使ってワイドに撮るというのが、あの独特の歪みがなんとも柔らかい雰囲気も出していていいんですよね。実際、このレンズは、超広角なんだけど歪みが出ないというのがウリなのですが、やはりその場の雰囲気を伝えるにはもってこいのレンズだと思うんですよね。

 なのですが、以前の結婚式の時には投入を見送ったんですよね。なのでどう撮れるのかがちょっと楽しみでした。少し暗いんだけどね。

とにかく、前もって構図のイメージトレーニングは重要

 こうも3年近く写真を撮るようになって痛感してくるのが、やっぱり構図なんですよね。機材とかって、昔と比べると大分よくなっているから、そこそこのモノを使って、きちんと設定しさえすれば撮れてしまう。問題は、どういった構図で撮るかなんですよね。

 しかも、結婚式とか披露宴って、動けそうでそんなに動けないし、入場やケーキ入刀やファーストバイトなど、それぞれ1回きりしかない。それを、「こういう風に撮りたい」というのをある程度思い描いている上で、このレンズで…この位置から…この設定で…というのを瞬時に考えていく必要があります

 なので、事前にこういうシーンではこういう写真が撮りたいというのは、イメージしておくことがとても大切です。今ではインターネットというツールがあるので、「結婚式」や「披露宴」で画像検索をすれば、いろいろな写真が出てきます。そういった作例を見ながら、イメージをすることがまずは大切だと思います。

結果レポート

冷静を保つことの難しさと普段通りができない歯がゆさ

 やっぱり、結婚式は難しい。もう、この一言に尽きます。正直、2年ちょっとぶりの結婚式で、それまでの間に、いろいろな撮影機会を経験してきたつもりでいましたが、やはり難しいです。本当、難しいです。

 とにかく、普段だと出来ているようなことが出来ない…。露出補正、F値の設定、そんな単純なことが出来なくなってしまいます。しかも、1つのミスが焦りに変わると、次々と凡ミスを連発します。今回私が焦ったポイントとしては…

 ・新婦に顔認識しない(新郎側にAFがいってしまう)
 ・AFポイント操作に四苦八苦…
 ・ワイド側の撮影だと、開放F値だとピントが甘い…
 ・一度、絞りを絞ったまま、F値を戻すのを忘れて、シャッター速度が低下…
 ・被写体ブレ、高感度によるノイズの発生…
 ・バウンス撮影のはずが、なんだか明るさにムラがある?  (詳細はあとで解説します)

 といった具合に、次から次と焦りが増していき、普段ならできることが出来なくなります。それはやはり、いつもよりも「撮らなければならない」という使命感や責任感があるということに他ならないと思います。あとは、どれだけ撮影に没頭できるかでしょうね。

課題①:過度な顔認識への過信は禁物

 実は、今回の撮影で全般的に焦った一つの原因がAFでした。α77Ⅱを母艦にしていたので、AFエリアをワイドにして、顔認識ONでAF-Cで狙っていました。しかし、これが大きな誤算。うすうす予感はしていましたが、神前式の撮影で、顔認識がすべて新郎の方にいってしまい、なかなか新婦の顔を認識してくれませんでした。というのも、カメラの性能とかいうよりも、綿帽子を被っているので顔として認識しづらいのと、真正面ではなく斜めからのショットになるので、どうしても認識しづらいのでしょう。ただ、結婚式は、基本、新婦側に合わせるのがセオリーですから、それはそれで焦ります。

 しかも、ここで私がとった行動が、ポイントAFで構図を元に新婦の顔が来るであろう位置にAFポイントを合わせながら撮影をしました。となると、構図が変わるたびにAFポイントを操作しないといけなくなり、一気に忙しくなります。

 式がすべて終了した後、車で帰りながら、『そうだよ!。どうしてオレは、DMFでピーキング使ってやらなかったんだ?』と自分の中で自問自答していました。実は、最近、サーキットでお姉様方を撮影するときは、DMFで撮影しているんです。ただ、あれは真正面で撮影することが鉄則だし、被写体がコロコロと動くことはありません。なので、余裕を持ってDMFでピーキングを確認しながら撮影できる。しかし、こういった式になると、被写体が動くので、そうなるとコンティニュアスAFの方がいいのですが…。

 なので、使い分けても良かったかもしれませんね。このあたりは、今後、練習した方がいいかもしれません。

課題②:画角、構図、明るさが変化する中で、直前の設定を把握できるのか

 今回、はじめはプログラムオートで撮影していました。すべてはこれが失敗の始まりだったのかもしれません。というのも、全景を撮影していたりすると、F2.8なんかで撮影されていては、被写界深度が狭くなってしまう。そうなると、いつも通り、絞り優先オートを使いたくなります。多少、絞ってシャッター速度が遅くなっても、広角側なら数枚撮ればどれか1枚ぐらいはいいやつ残ってますし。ここまでは別に問題が無いのですが、問題はこのあとです。

 このあと、暗くなったりして、次のシーンを撮影するときに、その前に絞りを絞っていたことを忘れて、シャッターチャンス優先で焦って撮影をしてしまう。それはそれで、シャッターチャンスを優先するのは大切なことなのですが、F8とか絞ったままで撮影すると、シャッター速度も3段は遅くなるので、それだけで被写体ブレを起こしてしまう。しかも、とにかく撮影に焦ってしまうので、その事実に気づくのがかなり遅い…いやぁ、ダメですね。

 この点は、やはりいつもの絞り優先オートなら、それを使い倒した方がいいということと、普段からEVF内の設定数値を見て、確認するべきなんでしょうね。特に最近は、オートレビューをオフにしているのも良くないのかもしれませんね。

課題③:手ブレよりも被写体ブレを気にするべし

 そもそもは、課題②の影響なので、同じつながりなのですが、今回あとで写真を見返して気になったのは、手ブレよりも被写体ブレです。70-200mm F2.8の望遠レンズでも、手ブレ限界と一般的に言われる「1/焦点距離」よりも遅いシャッター速度になっても、ほとんどブレずに撮影できていました。ただ、気になったのは、手ブレよりも被写体ブレ。普段、広角側で被写体ブレってあんまり気にならないのですが、先ほどの絞り設定を間違えたままで撮影すると、シャッター速度が遅くなる。さすがに、広角側の20mmや30mmあたりでも、1/40sより遅くなってしまうと、結構被写体ブレが目立ってしまいます。

 ブレだけは、後処理ではどうにもならないので、撮影時にきっちりしておかないといけない。そういった意味では、結婚式の撮影で「シャッター速度優先で撮影した方がいい」という声を聞きますが、確かにそんな気もします。ただ、その場合は常に画角を考慮しながら、『何mm以下は1/xx秒で、それ以上なら1/焦点距離』というのは考えておいた方がいいでしょう。個人的にはこういう設定が、カメラ側でできたら便利だと思うんですけどね。やはり、人が動く場合、1/60秒というのが一つの目安になるような感じはします。

課題④:高感度がどれだけ耐えられるのか

 途中で、絞り優先でF8のまんまとかにしていた影響もありますが、ISO-1600がいつになくバンバン多かったように思えます。場合によっては、F2.8・ISO-1600でも、シャッター速度がまだ足りない場面があったので、ISOは1600は最低条件で、できれば3200や6400が常用で使えるといいですよね。ただ、そうなると、フルサイズになってくるし、ボディもレンズも大きくなるし、さらにはF2.8なんかだと、被写界深度がさらにシビアに…。

課題⑤:外付けフラッシュのバウンスはやはり良し悪し

 あと、今回も悩みに悩んだバウンス。今回は、DT 16-50mm+α77ⅡにFLV-A43を装着。やはり、結果としては、いいような悪いようなというのが率直な感想ですね。

 良い点は、やはり明るさを確保できるという点。ここは絶対に失敗できないという場面では、焚いた方が安心です。

 悪い点は、今回、新郎新婦のところの背後の壁が近く、天井もやや低かったためか、天井の生々しさが写り込んでいたというところ。たぶんこれは、広角側が16mmというのも影響していたのかもしれません。さらに、今回はストロボデフューザーを付けていませんでした。それも、フラッシュが強すぎた1つの要因かもしれません。

 あと、ここぞとばかりにフラッシュを焚きながら、バシャバシャ撮影してしまったところ。こうなると、実は電池からの充電が十分に間に合わず、フラッシュを焚くことができません。ただ、それだけならまだいいのですが、この時カメラとしては、フラッシュを焚くつもりで撮影しているので、そもそも露出のおかしな写真になってしまいますし、それによってホワイトバランスもちょっとおかしなものが出来てしまいます。これが結構、RAW現像時にいろいろと厄介でした。なので、フラッシュを使う時は、狙いながら撮っていくべきだと思います。

 さらに、以前にも書いたことがありますが、割と身近な部分を撮影するにはバウンスでいいのですが、広い会場とかワイド側で撮影すると、全然フラッシュが届かず、近くだけは明るく、遠くが暗い写真になってしまうので、そういう時は使わない方がいいでしょう。そういった意味では、α77+ナナニッパの組み合わせにおいては、フラッシュ装着できるようにはしていましたが、結局、F2.8開放でノンフラッシュで撮影していました。

レンズ評価はハッキリと出ました

◆SONY DT 16-50mm F2.8

 今回の撮影では、標準レンズとしてのポジションで使用していましたが、全体の写真のなので、このレンズの使用割合が約7割ということで、想定通りかなといった感じでした。今回の装備では、50~70mmのあたりをカバー出来ていなかったわけですが、その点に対するストレスは無かったですね。50mmで寄るか、70mmで離れるかといった感じで十分でした。

◆SIGMA 18-35mm F1.8 HSM

 今回、基本的には先の16-50mmで狙っていたのですが、過去の事案から、キャンドルサービスではF2.8通しでは厳しいという実感があったので、お色直し再登場~キャンドルサービスの時だけ、α77Ⅱにこの18-35mm F1.8で狙いました。

 率直な感想としては、やはり「すごい!」の一言。明るさはもちろんですが、開放F1.8であっても、描写が良くて、ピントが合っているところにはパキッとピントがきています。F1.8なので、被写界深度が浅く、ピントがシビアなのかな?とも思いましたが、18mmあたりでは、被写界深度が1mあるので、ちょうどキャンドルから新郎新婦という感じになります。

 もう、これからの結婚式では必要不可欠なベストレンズではないでしょうか。場合によっては、標準レンズ自体をこれで撮るというのも良いのかもしれません(実際、今回私がDT 16-50mmで撮影したもののうち、実に65%が18-35mmの画角だったので…)。とにかく、それだけF1.8のアドバンテージは力強いです。

※Canon版やNikon版で気をつけたいのは、このレンズは手ブレ補正が搭載されていないということ。その点、SONY版はレンズに非搭載でもボディ側で手ブレ補正をかけることが出来るので、こういった場面では心強いですね。

◆TAMRON SP 70-200mm F2.8 Di USD

 いろんな記事などで、結婚式&披露宴にナナニッパの望遠レンズなんて…という声を聞きますが、個人的な感想とすれば、「持っていて良かった」という感じがします。特に、標準ズームのテレ端が50mmだったので、F2.8にしたとしても、被写界深度がそんなに浅くなりません。その点、ナナニッパで開放を使うと、いい感じで手元だけに寄ったりだとか、丸ボケも大きく出せるし、印象的な切り取りには重宝しました。

 実際、どれだけナナニッパを使ったかと言えば、1割程度なのですが、今回はいろいろとテンパってしまったので、十分に生かしきれなかった感じはしますが、単に記録的な写真でなく、ちょっとこだわった写真を撮ろうと思ったら、やっぱりこういうレンズがいいですね。

◆SIGMA 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM

 それにしても、もうこのレンズには脱帽です。

 私がよくやる、新郎新婦を逆向きに客席側をバックに撮影するこの構図。カメラに詳しくない人だと「ふ~ん」と思うだけかもしれませんが、実はメチャクチャスゴいんですよコレって!。新郎新婦との距離は50cmもありませんし、背後は壁なのでこれ以上下がれなかったですし。

 これは、別の知人の式で撮影したもの。普通の標準レンズのワイド端では、これぐらいしか撮れないのですが、今回、超広角レンズを投入したことで、いとも簡単に狙うことができました。35mm換算で12mmとなると、水平画角111度なので結構余裕に撮れます。

 そして、もう1枚。

 これは、終盤の手紙の場面。今回の場合、会場の対角線上に両親と新郎新婦が離れてのケースだったのですが、これもまた会場の隅から狙うと、なんと両方を狙うことができました。これをするには、水平画角が90度を超えないと無理です。

 残念なのは、暗いレンズなので、おのずとシャッター速度が遅くなること。ただ、広角な分だけ、被写体ブレは気にならなくもなるので、何枚か撮っておけば意外と成功枚数は多いです。また、欲を言えば、超広角の母艦側がα55だったので、ノイズが多いのはやむを得ない感じですが、さすがにレンズ交換の余裕はあんまりないですから…。

RX100はサブ機としては十分!!

 今回、メインのカメラマンは私一人でした。ただ、同じ職場から参加する人がいたので、その方にRX100を貸し出して、サブカメラマンをお願いしました。もちろん、RAWで撮影をして、あとで補正をしながらRAW現像をしたわけですが、これがなかなか写りが良くて驚きました。特に、夜のガーデンでのシーンなんかは、とてもコンデジとは思えない写りで、バッチリな感じでした。はっきり言って、「もう、これでいいじゃん!」というレベルです。

 一眼よりもセンサーサイズが小さい分、被写界深度もそこそこあるので、ピントのシビアさは一眼ほどではないですし、一方で、コンデジのように被写界深度が深すぎてノペッとした写真にもならないので、ちょうどいい具合な気がします。ただ、テレ端で集合写真を撮影すると、F1.8になってしまうので、ピントが甘くなってしまい、ピンボケ感が出てしまうので、集合写真の時は絞りを絞りぎみにした方がいいと思います。

 ISO感度も十分ISO-1600が使えます。なので、十分暗い所でもどんどん使えます。しかも、テレ端F1.8となると、もはやα77Ⅱ+SIGMA 18-35mm F1.8と同じですからね。もはや、化け物です。

 ただ、欠点としては、ズームを使ってしまうと、一気に開放F値が大きくなってしまうので、おのずとシャッター速度が遅くなって、どうしてもブレが出やすくなってしまいます。そう思うと、RX10という選択肢は抜群にいいと思うんですよね。望遠側でもF2.8が使えるというのはもちろんのこと、それだけ望遠側を使った際にも、一眼程は被写界深度は浅くなりにくいですし。

 あと、もう1つ気にしたいのは、引いた時のF1.8時の描写は結構いいのですが、料理なんかを接写した際のF1.8の解像度が良くないんですよね。これは、以前にマクロ撮影の時にも気になっていた事案で、レンズの特性なんだと思いますが、ちょっとモヤっとした感じになります。その一方で、接写はテレ端側じゃないと寄れないので、この時は、絞り優先で絞り気味で撮ったほうがいいと思います。

 なので、このRX100は、コツを理解してカメラ知識がある方なら、いくつかの弱点を押さえながら撮影をすれば、さらに力強い味方になるはずです。

RAW現像必須で、プラス補正はRAW現像時が良い!?

 やはり、結婚式や披露宴の写真撮影では、一眼やミラーレスで撮影する場合、RAW撮影を推奨します。

 その理由としては、まず1つに、ホワイトバランスの補正の関係。AWBのままでもいいのかもしれませんが、結構、シーンや場所によって照明具合が変わると、結構ホワイトバランスがコロコロと変わります。その点、撮影時には正直気にしていられないので、RAWで撮影しておいて、あとで調整した方が間違いがないと思います。

 ただ、気をつけたいのは、あまりにも本当の白で調整をしていくと、臨場感がないので、ほどよいレベルで止めておくことです。そのあたりは、最終的には個人の判断で、やる必要があると思います。

 また、もう1つの理由は、露出補正です。そもそも、結婚式は会場にしてもドレスにしても、白いものが多いですし、新婦を撮るとなると、やはりプラスぎみの補正で+0.3~+1.0ぐらいが普通だと思います。ただ、このあたりも、撮影時補正をしておいてもいいのですが、そもそも明るい訳ではない式場では、プラス補正にすることで、ISO感度が上がってしまったり、シャッター速度が遅くなってしまうので、そもそもの質が悪くなるケースがあります。

 その点、露出補正も、RAW現像時に+1.0ぐらいは簡単に持ち上げることができるので、あえて撮影時には抑えめにして被写体ブレ、高感度ノイズを避けて、あとでRAW現像時に明るくする方がベストだと個人的には思います。

今回の会場について総まとめ

 今回の会場は、ヴィラノッツェ・カローという鳥取では最近人気のある式場でした。検索をしても、撮影上のポイントなどが出ていないので、最後にちょっと紹介します。ちなみに、式自体は、ナイトウエディングでした。

事前の打ち合わせ

 今回、新郎新婦側から正式にカメラマンを委託されました。ただ、ここの会場の場合、どうやら外部のカメラマンはダメのようで、『参列者の形であれば』カメラマンOKのようです。なので、式の1週間前に事前に簡単な打ち合わせをして、進行のおおまかな流れと会場(ゲストの待合室・挙式会場・集合写真の場所)は確認させてもらうことができました。

神前式リハーサル~本番

 正式にカメラマンであることを会場側に伝えていたこともあってか、スタッフの方々がカメラマンとして優遇をしてくれます。なので、スタッフ側の方から、「控室を撮られますか?」と何度か声をかけていただいたり、結構配慮してくれました。そういう意味では楽でした。

 神前式の会場は、実はチャペルと同じ会場で、中央が広く取られているのと祭壇が設けられているというところがちょっと違う。また、祭壇に向かって右側(新郎側)が神職さんで、左側(新婦側)が巫女さんだった。

 ちなみに、打ち合わせの段階で「席を立たないで下さいと言いますが、カメラマンは立っていても何も言わないですから…」と言われていて、それってどういう意味なんだろう?と思っていましたが、なんてことはない、「普通の参列者の人は撮影するために動くなよ」という意味だけだったようです。なので、神前式とはいえ、別にカメラマンが動いても何の問題もありませんでした。(参列者についても、立ったり動くのはダメですが、座ったままなら撮影OKでした)

 ここの場合、向かって左側の天井の近くに横に細長い窓があるので、それほど暗いとは思わなかった。実際にEV値としては、EV7.3程度(10月の16:30)であった。ただ、この会場自体が、東西方向なので、おのずと光取りの窓は南側(新婦側)と北側(新郎側)になるので、少々気になるのは、新郎側から新婦側を見た場合にやや逆光ぎみになる可能性はある。

 今思えば、リハーサルも本番も、巫女さんのいる向かって右側(新婦側)から狙ってしまった。せめて、リハーサルは逆から狙った方が良かった気がする。個人的には、リハーサルが新郎側、本番が新婦側がオススメ。というのも、巫女さんも神職さんもあれこれ動くものの、巫女さんは運ぶことがメインなので、シャッターチャンスの時には元の場所に戻ることが多い。それに対して、神職さんは新郎新婦がいろいろとしている時でも立っていることが多いので、なかなか撮りづらいし、何より神職さんの邪魔にならないかハラハラしてしまう。一様、私の場合は、リハーサルが終わった段階で、神職さんに「この辺の隅だったら邪魔になりませんか?」という確認はさせてもらいました。

 ちなみに、ここの会場の流れの場合、①入場→②修祓(しゅばつ・お祓い)→③神職が祝詞を読む→④三三九度→⑤二人が誓いを読み上げる→⑥指輪の交換→⑦玉串(神職・新郎新婦・親族代表)→⑧記念品→⑨退場という流れでした。

 また、バウンス撮影は実際にやりましたが、天井までの高さが5mほどと高く、広角側で狙うとちょっと難しいような感じはしました。ただ、それほど暗い訳では無いので、しっかりとF2.8相当のレンズを確保しておけば、フラッシュ無しの撮影は十分可能だと思います。

フラワーシャワー

 式が終了すると、2階から1階に降りる吹き抜けのL字の階段の部分でフラワーシャワーとなりました。ここでのEV値は、EV6.7程度(10月の17:30)。一様、明かり取り用の窓もいくつかあるので、季節によってはもう少し明るいはずだと思います。

 天井まで高さが結構あるので、バウンスは無理ではないですが、なかなか難しいかなといった感じ。ただ、動きがあるので、できるだけ開放絞りでシャッター速度を高めるのがいいのではないでしょうか。

集合写真

 そして何より、最難関だったのが、この集合写真です。

 実は、今回、カメラマンを頼まれたということで、嫌な予感はしていましたが、挙式の1週間前に下見させてもらった段階で、やはり集合写真のカメラマンも私となることが判明しました。

 この時、会場の下見をさせてもらったのですが、出席者が1階にいて、カメラマンが2階から撮影するという感じの集合写真です。上から撮影するとはいえ、手前から奥までピントを合わせないといけないので、実は一番ハイレベルなんですよね。係の人に、「普通の撮影の場合、フラッシュって焚いていますか?」と聞いたものの、結局、明確な答えがもらえず…。

 下見の時に撮影させてもらった写真からEV値を計算するとEV値6.2(10月の18:00)の明るさ。被写界深度を考えて、F8まで絞り込むと、シャッター速度:1/25s、ISO-2200という、なんとも微妙な数字。フラッシュを焚いてバウンスをしてもいいのですが、1~2階の吹き抜けの状態なので、どれだけ光が到達するのか未知数。ただ、幸いにも、画角的には35mm換算で28mmぐらいなので、過焦点距離を考えれば、そんなに絞らなくてもいいような…。たぶん、DT 16-50mm F2.8だから2段絞ってF5.6、それだとISO-1100…そんなところかな。

 ということで、実際にはF5.6、SS:1/20s、ISO-1600、APS-Cで18mm(35mm換算27mm)で撮影しました。これだと、EV値が5.5です。またピントは、セオリー通り、2列目のあたりの人にピントを合わせて撮影しました。撮影結果を見ると、やはりF5.6が限界な感じで、これより絞りを開けるとちょっと甘い感じがします。

 もしかしたら、フラッシュを使っても良かったのかもしれませんが、あまりいい予感がしなかったので止めました。バウンスをした場合に、天井から参列者の顔まで距離があるので、なかなか難しいかなぁ…ということや、顔が明るくても、変に足下が暗くなるかもしれない…と思って冒険はしませんでした。その点、一度、プロが入ったときの撮影に立ち合って見たいですね。たぶん、ドデカい傘状のストロボ焚くような気がしますが…。

パーティー会場~ナイトガーデン~キャンドルサービス

 式場は、当日いきなりではありましたが、思いのほか狭くて驚きました。なので、新郎新婦が歩く通路の部分も狭く、撮影が難しいというのが第1印象でした。また、入口の部分が狭く、新婦側の親族のテーブルから扉までが2~3mぐらいしかないので、これまた入退場が撮影しにくいです。

 明るさは通常の状態でEV値8.0程度。なので、そこまで極端に絞り込まなかったりすれば、問題なく撮影できる明るさではないでしょうか。

ナイトガーデンはくせ者

 また、この会場のポイントでもあるナイトガーデン。実はコイツが結構のくせ者で、EV値が4.0~5.0程度になります。この明るさ、F2.8・ISO-1600でも、シャッター速度が1/40~1/60程度とあって、広角側ではまだいいですが、ちょっと望遠側を使うとなかなか厳しくなります。しかも、そもそもガーデンで被写体が動いてしまうことが多いので、そうなるとなおさらです。なので、私は今回は16-50mm F2.8でしたが、このシーンも18-35mm F1.8の方が良かったなぁと後悔しています。

やっぱり暗いキャンドルサービス

 そして、もう1つのキャンドルサービス。これが実はカットによって差が大きいのですが、EV値が2.5~3.5程度になり、やはり今回一番の暗さになりました。ただ、今回は18-35mm F1.8を投入したこともあり、ISO-1600時でも1/10秒以上に押さえることが出来たので、結構いいカットを残すことが出来ました。もし単焦点で狙うなら、APS-Cで20-30mmあたりでしょうね。APS-Cで50mmになるとなかなか撮りづらいような気がします。

 あと、ちょっとしたコツですが、キャンドルサービスって真っ暗になるわけでは無く、スポットライトが当たります。会場によって、そのスポットライトがどこから来るのか違うと思いますが、この会場の場合、側面の壁際から2本光が来ます。ただこれが、人の顔の高さぐらいと同じ位置からスポットライトを当てるので、簡単にカメラマンの影で新郎新婦に光が当たらなくなります。なので、その点を気にしつつ、ポジショニングする必要があると思います。

 一様、私も気にしていたつもりだったのですが、新婦の親族のテーブルを撮影するときに、新婦の両親のところに私の影が入ってしまっていたんですよね…いやぁ残念でした。

意外と暗い見送りシーン

 ある意味、今回一番驚いたのが、この見送りのシーン。

 私の中では、集合写真を撮影したロビーのところでするのかと思いきや、そこから玄関方向に補足伸びる廊下というか通路部分での見送りでした。

 なので、写真を見て頂いても分かるとおり、結構狭いです。なので、ここで新郎新婦の顔を撮ろうとか、そんなことはなかなか出来ないというのが正直なところです。

 しかも、ナイトウエディングだと、この時間が20:30頃になるわけですが、外はもう真っ暗。なので、なんとこの場所のEV値は3.5!!。これ、ちょっと明るめなキャンドルサービス並です。なので、普通にF2.8レンズでも1/20秒になってしまう中で、歩いたりお辞儀をしたり、握手をしたりするので、被写体ブレがハンパないです。

 その一方で、奥行きがあるのに天井が低いので、バウンス撮影は無理。なので、もしこのシーンを狙うなら、ここでもF1.8レンズを持ってこないとなかなか撮影できないと思います。

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